藤本真澄映画賞

故・藤本真澄は生涯に渡って269本の映画を製作し、「社長」シリーズ、「若大将」シリーズなどの娯楽性に溢れた映画を製作する一方、成瀬巳喜男監督と組んだ文芸映画など、幅広いジャンルの映画を世に送り出し、永年日本映画の製作に対して多大なる貢献、実績を残した。
その藤本氏の業績を記念するとともに、故人の念願であった日本映画産業の向上発展の一助となすべく、毎年、全国の劇場公開用として製作、一般に公開された映画の中で、特に観客の多大な支援を受け、優れたエンターテイメント性を持った映画の製作者を中心に表彰するものである。

前列 左より 増本氏、村田氏、松橋氏
後列 左より 唯野氏、岡田氏、山田氏、伊藤氏
<第45回 藤本真澄映画賞授賞式(2026年4月13日)にて>

藤本真澄映画賞

『国宝』の製作に対して
村田千恵子 松橋真三
授賞理由
原作者 吉田修一と李 相日監督のコンビと共に歌舞伎宗家の血筋を引く男と、任侠の父を持つ男という異なる世界の二人がともに苦悩し芸道に邁進する過酷な世界を圧倒的な映像美で描いたエンターテインメント作品に仕上げた。伝統芸能の裏側を見事に活写しながら、3時間という長尺を感じさせない展開は観客の心を鷲掴みにし、歴代日本実写映画の興行記録を塗り替える快挙を成し遂げた。世界に通じる圧倒的な作品作りを目指した製作者の意気込みが見事に結実したその功績に対して贈ります。

藤本真澄映画賞・特別賞

『フロントライン』の製作に対して
増本 淳
授賞理由
横浜港に停泊中の豪華客船内で発生したコロナウイルス集団発生事件を題材とするオリジナル脚本を自ら執筆、実際に報道されなかった様々な内実を鋭く描いた社会派エンターテインメント作品として映画化した。当時誰も経験しえなかった未知のウイルスと風評被害に果敢に対峙するDMAT隊員たちを主軸とし、厚生労働省官僚、客船クルー、報道関係者や感染した船客とその家族たちの苦悩と勇気を入念な取材に基づいてリアリティ溢れる作品に仕上げ、多くの観客の支持を得る作品を製作したその功績に対して贈ります。

藤本真澄映画賞・奨励賞

『ファーストキス 1ST KISS』の製作に対して
山田兼司 伊藤太一
授賞理由
夫婦愛の再生という普遍的なテーマに「タイムリープ」というファンタジックな要素を盛り込んだ坂元裕二によるオリジナル脚本を元に、塚原あゆ子監督の巧妙な演出とキャスティングによって完成度の高いオリジナル作品を作り上げた。過去と現在を行き来する時間軸を入り組ませながら、夫婦の日常の細部を積み重ねる作品構成はリアリティと共に温かい余韻を観客にもたらす感動的なドラマへと結実し、多くの観客の心をつかむヒット作となったその功績に対して贈ります。

藤本真澄映画賞・奨励賞

『爆弾』の製作に対して
岡田翔太 唯野友歩
授賞理由
呉 勝浩の同名小説を原作に、永井 聡監督を起用。連続爆破事件と取調室内の容疑者尋問を並行描写しながら観客を惹きつけ、裏切り、翻弄する見事な構成の一級サスペンス作品を仕上げた。取調官と容疑者の特異なキャラクター設定と、敢えて外の世界から遮断された取調室を舞台に設定し、そこで繰り広げられる緊迫した会話と心理戦にフォーカスしながら事件の解明と共に現代にはびこる悪意、憎悪、差別などの社会問題をあぶりだし、多くの観客の支持を獲得する映画を製作したその功績に対して贈ります。

藤本真澄映画賞選考委員会 ● 委員長 矢部 勝 ● 委員  襟川クロ/樋口尚文/品田英雄/金澤 誠/市川 南(敬称略)

藤本真澄映画賞新井順子「ラストマイル」の製作
野木亜紀子   〃
塚原あゆ子   〃
藤本真澄映画賞・特別賞押山清高「ルックバック」の製作
大山 良   〃
藤本真澄映画賞・奨励賞安田淳一「侍タイムスリッパー」の製作
藤本賞臼井 央「ゴジラ-1.0」の製作
阿部秀司(故人)   〃
山田兼司   〃
岸田一晃   〃
阿部 豪   〃
守屋圭一郎   〃
藤本賞・特別賞柳井康治「PERFECT DAYS」の製作
役所広司   〃
ヴィム・ヴェンダース   〃
高崎卓馬   〃
藤本賞・新人賞内藤圭祐「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の製作
藤本賞松井俊之「THE FIRST SLAM DUNK」の製作
藤本賞尾田栄一郎「ONE PIECE FILM RED」の製作
梶本圭   〃
柴田宏明   〃
髙野健   〃
藤本賞・奨励賞平野隆「ラーゲリより愛を込めて」の製作
下田淳行   〃
藤本賞・新人賞武井克弘「BLUE GIANT」の製作
備前島幹人   〃
藤本賞・新人賞深瀬和美「死刑にいたる病」の製作
藤本賞・新人賞宮川朋之「仕掛人・藤枝梅安」の製作