藤本賞
故・藤本真澄は生涯に渡って269本の映画を製作し、「社長」シリーズ、「若大将」シリーズなどの娯楽性に溢れた映画を製作する一方、成瀬巳喜男監督と組んだ文芸映画など、幅広いジャンルの映画を世に送り出し、永年日本映画の製作に対して多大なる貢献、実績を残した。
その藤本氏の業績を記念するとともに、故人の念願であった日本映画産業の向上発展の一助となすべく、毎年、全国の劇場公開用として製作、一般に公開された映画の中で、特に観客の多大な支援を受け、優れたエンターテイメント性を持った映画の製作者を中心に表彰するものである。
第41回(2021年度)
藤本賞 | 山本晃久 「ドライブ・マイ・カー」の製作に対し |
授賞理由
村上春樹の同名短編小説を濱口竜介監督の脚本と演出により見事に映像化した本作は、喪失と再生というテーマに取り組み、カンヌ国際映画祭脚本賞、米国アカデミー賞国際長編映画賞、日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめとする国内外の映画賞を受賞。世界の映画人から圧倒的に評価され、日本国内に於いても観客動員数80万人を超えるヒットとなった。本企画を発案、プロデュースし、世界的な評価と成功に導いたその功績により。 | |
藤本賞・特別賞 | 緒方智幸 「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の製作に対し |
授賞理由
1995年のテレビ放映以来、社会現象を巻き起こし、熱狂的なファンを生み出した新世紀エヴァンゲリオン。株式会社カラーの単独製作として2007年に始まった新劇場版シリーズでは作品を重ねるたびに観客動員数を更新し、最終作となる本作は670万人超、国内興行収入は100億円を突破した。四半世紀にわたって発展し続けたエヴァンゲリオン、そのすべての完結編であり圧倒的なクオリティを誇る大作を、庵野秀明氏とともに製作した功績により。 | |
藤本賞・奨励賞 | プロデュース・チーム 松谷浩明 齋藤雅哉 池田亮太 村井佑梨羽 大塚学 瀬下恵介 「劇場版 呪術廻戦 0」の製作に対し |
授賞理由
週刊少年ジャンプ連載開始直後から注目を浴びていた芥見下々による原作コミック「呪術廻戦」の、テレビアニメ第1期に続く初の映画化となる本作は、シリーズ前日譚にあたるエピソードを圧倒的なクオリティで描くことで、コアファンはもとより原作コミックやテレビアニメに触れていなかった新たなファンも取り込み、一大ムーブメントを巻き起こした。観客動員は980万人を超え、2021年度興行収入第一位となる大ヒット作に導いた功績により。 | |
藤本賞・新人賞 | 岡田翔太「東京リベンジャーズ」の製作に対し |
授賞理由
和久井健による大ヒット原作コミックを、旬の若手俳優を起用して実写化した本作は、原作の世界観を的確に描出した演出やアップテンポな音楽、魅力あふれるキャラクターたちによって、タイムリープとヤンキー映画が見事に融合し、青春映画の枠を超えた幅広い世代の胸を熱くさせる斬新且つ痛快なアクション映画となった。観客動員は300万人を突破し2021年の実写映画に於ける興行収入第一位の大ヒット作に導いた功績により。 |
第40回(2020年度)
藤本賞 | 岩上敦宏 近藤光 大好誠 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の製作に対し |
授賞理由
吾峠呼世晴の週刊少年ジャンプ連載からアニメ放送を経て人気絶頂で迎えた本作は、アニメーション映画としての圧倒的な映像と音楽、そして老若男女全ての世代の心を掴む魅力的な物語が、迫力あるLiSAの主題歌の効果と合わせて社会現象を巻き起こし、3000万人に迫る観客の共感を呼び、20年ぶりに日本映画の観客動員記録を塗り替えた。全米でも記録的なヒットを飛ばすなど海外での成功も合わせ、コロナ禍で沈滞していた映画界全体をも大いに活性化させた功績により。 | |
藤本賞・特別賞 | 那須田淳 渡辺信也 進藤淳一 「罪の声」の製作に対し |
授賞理由
実際にあった昭和最大の未解決事件を題材に、フィクションを交えながら事件の核心に迫る二人の男を描いた塩田武士による同名小説を、野木亜紀子を起用し映像作品ならではの文脈で再構築された緻密な脚本にまとめ上げ、小栗旬、星野源ら個性豊かな俳優陣の確かな演技力と、監督の土井裕泰の繊細な映像表現を得て、息詰まる社会派サスペンスでありながら、第一級の娯楽エンタテインメント作品に仕上げた功績により。 | |
藤本賞・奨励賞 | 孫家邦 菊地美世志 「花束みたいな恋をした」の製作に対し |
授賞理由
脚本家・坂元裕二にラブストーリーを依頼、映画オリジナルストーリーとして一から企画を立ち上げた本作は、脚本、監督・土井裕泰、俳優・菅田将暉、有村架純の素晴らしい掛け算を生み出し、当時の社会や風俗に関する具体的な固有名詞を数多く登場させることで、その時代を経験する観客一人ひとりの共感を得ながらも、どの世代にも当てはまる若者の等身大の物語が多くの観客の心を掴んで、観客動員300万人に迫る大ヒットに導いた功績により。 | |
藤本賞・奨励賞 | 小川真司 「浅田家!」の製作に対し |
授賞理由
写真家・浅田政志による家族を撮影した写真集から映画化を着想し、中野量太監督と共にオリジナル脚本を構成、東日本大震災による津波で流された写真を洗浄するエピソードを描くことで、一人の写真家の成長のみならず、そんな彼を温かく見守る家族の再生にまで繋がる普遍的な物語に仕立て上げ、二宮和也を中心とした豪華出演陣による抑揚の効いた演技を加えて、笑いの中に感動がある娯楽作品として作り上げた功績により。 |
第39回(2019年度)
藤本賞 | 河村 光庸 | 「新聞記者」の製作 |
藤本賞・特別賞 | 松橋 真三 | 「キングダム」の製作 |
村田 千恵子 | 〃 | |
稗田 晋 | 〃 | |
森 亮介 | 〃 | |
北島 直明 | 〃 | |
藤本賞・奨励賞 | 佐藤 善宏 | 「蜜蜂と遠雷」の製作 |
石黒 裕亮 | 〃 | |
加倉井 誠人 | 〃 |
第38回(2018年度)
藤本賞 | 是枝 裕和 | 「万引き家族」の監督 |
藤本賞・特別賞 | 若松 央樹 | 「翔んで埼玉」の製作 |
藤本賞・奨励賞 | 増本 淳 | 「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」の製作 |
藤本賞・新人賞 | 上田 慎一郎 | 「カメラを止めるな!」の監督 |
第37回(2017年度)
藤本賞 | 青山剛昌 | 「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」の製作 |
近藤秀峰 | 〃 | |
米倉功人 | 〃 | |
石山桂一 | 〃 | |
藤本賞・特別賞 | 松橋真三 | 「銀魂」の製作 |
藤本賞・奨励賞 | 春名慶 | 「君の膵臓をたべたい」の製作 |
臼井央 | 〃 |
第36回(2016年度)
藤本賞 | 新海誠 | 「君の名は。」の製作 |
川口典孝 | 〃 | |
古澤佳寛 | 〃 | |
川村元気 | 〃 | |
藤本賞・特別賞 | 山内章弘 | 「シン・ゴジラ」の製作 |
佐藤善宏 | 〃 | |
藤本賞・特別賞 | 丸山正雄 | 「この世界の片隅に」の製作 |
真木太郎 | 〃 |
第35回(2015年度)
藤本賞 | 那須田淳 | 「映画 ビリギャル」の製作 |
進藤淳一 | 〃 | |
藤本賞・特別賞 | 松崎薫 | 「海街diary」の製作 |
藤本賞・特別賞 | 川村元気 | 「バクマン。」の製作 |
藤本賞・奨励賞 | 深田誠剛 | 「恋人たち」の製作 |
小野仁史 | 〃 |
第34回(2014年度)
藤本賞 | 伊藤善章 | 「STAND BY ME ドラえもん」の製作 |
梅澤道彦 | 〃 | |
阿部秀司 | 〃 | |
藤本賞・特別賞 | 小岩井宏悦 | 「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」の製作 |
藤本賞・奨励賞 | 佐藤現 | 「百円の恋」の製作 |
第33回(2013年度)
藤本賞 | 市川南 | 「永遠の0」の製作 |
畠中達郎 | 〃 | |
プロデュースチーム | 〃 | |
藤本賞・特別賞 | 井之原尊 | 「ペコロスの母に会いに行く」の製作 |
村岡克彦 | 〃 | |
藤本賞・奨励賞 | 楠山忠之 | 「陸軍登戸研究所」の製作 |
第32回(2012年度)
藤本賞 | 稲葉直人 | 「テルマエ・ロマエ」の製作 |
藤本賞・特別賞 | 河村光庸 | 「かぞくのくに」の製作 |
藤本賞・特別賞 | 諏訪道彦 | 「名探偵コナン」シリーズの製作 |
浅井認 | 〃 | |
石山桂一 | 〃 | |
藤本賞・奨励賞 | 原田眞人 | 「わが母の記」の製作 |
石塚慶生 | 〃 | |
藤本賞・奨励賞 | 佐藤貴博 | 「桐島、部活やめるってよ」の製作 |
第31回(2011年度)
藤本賞 | 新藤次郎 | 「一枚のハガキ」の製作 |
藤本賞・特別賞 | 依田巽 | 「ヒミズ」の製作 |
梅川治男 | 〃 | |
藤本賞・奨励賞 | 是枝裕和 | 「エンディングノート」の製作 |
藤本賞・新人賞 | 須藤泰司 | 「探偵はBARにいる」の製作 |